C&C賞表彰式典・記念講演

ホテル・オークラにて、行ってきた。今年度のC&C賞はパラメトロン計算機の開発者の喜安善市先生、RISC開発者のジョン.L.ヘネシー教授、デイビット.A.パターソン教授。

喜安先生は今年で数え92歳。うちのじいさんと同じだけど、こういうところへ出てきて講演できる元気があるのはとてもすごい。講演の内容も興味深く、録音した音声を逆転再生した音には冗長性があるらしい。日本で最初の情報理論の講義の受講者は5人だけだった。「科学は驚異と好奇から始まる」

ヘネシー教授の講演はこれまでの計算機アーキテクチャの進化と今直面している問題点の話。パイプラインや投機実行を力説していた。これらはアーキテクチャの発展に大きく貢献したけど、パイプラインステージが1段加わるごとに命令の実行効率は理想よりも10%づつ落ちる。消費電力の問題も。どのアーキテクチャのいろんな事をやっているが、結果的には大差なく、この20年の蓄積とは全く違ったアプローチが必要。素子やアーキテクチャでは動きが活発になっているけど、ソフトウェアの面ではまだまだ。

パターソン教授の話は21世紀の計算機のあるべき姿について。SPURをキーワードとしている。Security、Privacy、Userbility、Reliability。これまでは高性能化、高機能化と進んできたが、これからは使い勝手・使用目的ありきの開発。計算機関連のいくつかのテクノロジーが生まれてから、10億円産業に発展するまでの関係の図を見せてくれた。だいたい15年を要している。バークレイやスタンフォードのところが強調されているのは、今日の講演にちなんで。

講演はiPodで全部録音。これから、じっくり聞いてみようと思う。同時通訳はあまりいい日本語じゃなかったし。

最大の収穫物は、原著は間に合わなかったけど会場で頒布していたパンフレットの本人たちのプロフィールページにサインを貰えたことと、名刺を貰えたこと。あと、ヘネシー教授のワイフはすんごい美人。