朝鮮半島の核実験を捉える
北朝鮮が核実験を強行。声明だけで、映像等の提示が無く、確認までもう少し時間がかかるようですが、他の状況証拠から時間、規模、場所についてほぼ特定できているようです。
さて、ここではあえて政治的な意見には触れずに、科学として日本からどのようにして北朝鮮の核実験を観測できる(できた)のかを列挙してみたいと思います。ようするに、日本はどれだけ核実験に対して科学的根拠に基づく眼を備えているのか、ということです。
宇宙からの観測
先日も二号機が軌道投入されましたが、多目的運輸衛星による観測がまず考えられます。二十四時間以内に地球上のあらゆる箇所が撮影可能です。ただ、地下核実験となると宇宙からの光学的な観測はほぼ不可能ですので、その他のチャネル(赤外線、ガンマ線など)を観測する衛星の力が必要と思われます。
地震計による観測
地震国である日本には各地に無数の地震計が設置され、松代などには世界最高性能クラスの地震計があります。核爆発による地震は、自然の地震とは明らかに違う震動パターンを示しますので、地下で人為的に巨大なエネルギーが放出されたことを確認することができます。核実験が行われると、「松代でも震動を捉えた」と毎回報じられていますし、今回もそれを示すような震動を観測して、エネルギー規模の推測もできています。
おそらく他にも観測の手段は多数あるかと思いますので、なにか「こんなのもあるよ」というのがあればコメントに書き足していただきたいです。
ところで、我々日本人の多くはどの程度、こういう観測手段があるということを知っているのでしょう。安全保障に直結することですのでかなり難しいと思いますが、事態がある程度落ち着いた後、具体的にどのような観測チャネルを使って、時刻、場所、規模を特定できたのかというものをいくらか公表するということはできないでしょうか。核実験だと例が良くないとは思いますが、「離れた場所の事象を間接的に観測し、推定する方法」というのは、総合的な科学の教材として非常に有用だと思います。